公開講演会「Laudate Dominum:賛美と霊性の源流をたずねて」
INFORMATION
教会音楽が神を賛美するためにあることに多言を弄するまでもない。しかし、神を賛美するとはいかなることか。これは、キリスト教史上の数ある難問のうちでも、第一級の問いであり、アウグスティヌスや偽ディオニシオス?アレオパギテースなどのラテン?ギリシャ教父たちはその真実を知ることができるように神に祈り願い求めた。そこで、今、われわれもまた「神を賛美するとはいかなることか」という問いを自らにおいて引き受け、真剣に応答することによって、教会音楽とはいったいなんであり、またなんのために存在しているのかについてあらためて考えてみたい。今回は西方?中世キリスト教の典礼神学の観点から坂田奈々絵氏(清泉女子大学准教授)に、東方?ビザンツ?キリスト教のマリア崇敬?賛美の観点から袴田玲氏(岡山大学講師)に、そして、東西教会に多大な影響をおよぼした偽ディオニシオス?アレオパギテースの説く賛美?典礼の観点から宮本久雄氏(東京純心大学教授、東京大学名誉教授)にお話しいただく。
清泉女子大学文学部文化史学科准教授
坂田 奈々絵 氏
博士(神学?上智大学)、STD(教皇庁神学博士号)。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て現職。「『聖務の理論』における象徴理論:聖体とその象徴性に関する議論を中心に」『中世思想研究』(中世哲学会)第66号、2024年。「典礼注解書におけるキリスト教的シンボルの意味と意義:マンド司教グイレルムス?ドゥランドゥスを中心に」『鹿島美術研究』第40号、2023年。そのほか業績多数。
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究学域講師
袴田 玲 氏
博士(文学?東京大学)。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て現職。「共通の崇敬対象としてのマリア:東方キリスト教とイスラーム」『キリスト教とイスラーム?対立から共生へ』晃洋書房、2024年、第八章(フィル?ブースと共著)。「グレゴリオス?パラマスのマリア像:人間の救済におけるマリアの主体的?積極的役割について」『キリスト教史学』第77号、2023年。そのほか業績多数。
東京純心大学看護学部教授、東京大学名誉教授
宮本 久雄 氏
博士(学術?東京大学)。東京大学大学院教授、上智大学神学部教授を経て現職。ドミニコ会司祭?カトリック渋谷教会主任司祭。『他者の原トポス:存在と他者をめぐるヘブライ?教父?中世の思索から』創文社、2000年。『パウロの神秘論:他者との相生の地平をひらく』東京大学出版会、2019年(2021年第33回和辻哲郎文化賞(学術部門)受賞)。そのほか業績多数。